経営士協会九州支部

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トップページ >  経営に役立つ話の一覧  >  13.士業もニュースを発信しよう!(2012/1/1発行の会報に掲載)

士業もニュースを発信しよう!


内閣府認証 特定非営利活動法人 日本経営士協会
九州・中国支部 経営士補 田辺 久豊



1.ご挨拶
 新年明けましておめでとうございます。
 平成18年に日本経営士協会に入会し、早6年が経過しました。私と日本経営士協会との出会を思い起こせば、6年前のまだ独立して間もない頃となります。地元の山口県宇部市で開催された当協会主催のセミナーで、九州支部に所属するプロ意識の高い先生方と出会い「この会でならば企業経営のことを学べるのではないか」と直感的に感じて入会させて頂きました。
 私が所属する九州・中国支部では2カ月に1回の頻度で研修会を開催しております。この研修会では、支部に所属する会員が講師を担当し、それぞれの講師の専門分野について、業界の最新情報を交えながら講義をします。私自身もこれまでに数回講師を務めさせて頂きました。当協会でなぜこのような活動を行っているのかと考えると、それは「自己研鑽」ということに尽きるかと思います。
 この年末年始の休暇中に読んだ書籍の中で、「自己研鑽」に関する興味深い書籍がありましたので以下にご紹介します。
 平成22年に南アフリカで開催されたサッカーワールドカップで日本代表を世界のベスト16まで導いた前監督の岡田武史氏と、プロ棋士で史上初の七冠王にして最強の棋士と呼ばれる羽生善治氏との対談集で「勝負の哲学」(サンマーク出版)という題名の本があります。この本の中で、棋士の羽生善治氏が『研鑽』について以下のように語られていました。
 「プロの棋士は何百手も先まで読んで最善の一手を指す。将棋指しに対して、そんな超人的なイメージを抱いている人が少なくないようですが、それは「美しい誤解」にすぎません。実際には十手先の局面の予想さえ困難なんです。というのは、将棋ではひとつの局面で平均八十通りくらい指せる手があるといわれていますが、その中から次の手の候補を三つくらいに絞ったとしても、十手先の局面は三の十乗で六万通り近くなってしまいます。
(中略)
 では、どうやって手を絞り込むかといえば、まさに直感なんです。平均八十通りの手から直感的にふたつか三つの候補手を選び、そこからさらに歩を動かすとか桂馬を跳ぶといった具体的なシミュレーションをするのですが、このとき残りの七十七〜七十八の可能性を検討することは基本的にしません。
 直感によるオートフォーカス機能を信用して、直感が選ばなかった他の大半の手はその場で捨ててしまうんです。最近のカメラには自動焦点機能がついていて、カメラが自動的にピントを合わせてくれますが、直感の作用はあれによく似ています。
 もちろん、ここでいう直感はヤマカンとは異なります。もっと経験的なもので、監督がおっしゃるように、とても構築的なものです。数多くの選択肢の中から適当に選んでいるのではなく、いままでに経験したいろいろなことや積み上げてきたさまざまなものが選択するときのものさしになっています。そのものさしは目には見えないし、無意識の作用によるものですから、当然、言葉にはしにくいものです。
 でも、それはまったく偶然に、何もないところからパッと思い浮かぶものではなく、経験や蓄積の層を通して浮かび上がってくるものなんです。ですから、研鑽を積んだ者にしか「いい直感」は働かないはずです。カンを研ぎ澄ませるのは経験や蓄積で、その層が厚ければ厚いほど、生み出された直感の精度も上がるんじゃないでしょうか。」


 九州・中国支部の活動に織り込まれている「自己研鑽」は、まさにこの「いい直感」を働かせるためにあると言えます。現代は、情報化によって選択肢がますます増え、何を選択したら最適なのかが見えなくなってきています。このような状況下において、経営者・管理者またはコンサルタントにとって、数多くの選択肢の中から何かを選ぶ時に、「いい直感」が働くかどうかということは極めて重要なファクターになるかと思います。

2.インターネット新聞が情報の発信源になっている
 私が経営している株式会社ネットウェイズでは、「山口宇部経済新聞」というインターネット新聞を運営しております。この新聞は、山口県の中でさらに限定された地域(宇部市、山口市、山陽小野田市など)のビジネス&カルチャーニュース、いわゆる「街ネタ」を取り扱う地域情報サイトです。同地域での飲食店・アパレルショップなどの新規オープンやリニューアルオープン、地元企業の新しい取り組み、イベント情報などを日々配信しています。
 この「山口宇部経済新聞」は、平成17年1月に創刊しました。通常は平日に最低一つのニュース記事を配信しております。そして、配信したニュース記事はすべてヤフーのニュースサイトに掲載されていますので、当社は一日一本ヤフーのニュースを書いていることになります。ちなみに当社の「山口宇部経済新聞」は、ヤフーのニュースサイトのジャンルでいうと、「地域ニュース」の「山口」に属しています。
 対象としている地域の人口は30万人程度であり決して大きなマーケットではありませんが、当社がニュース記事を配信したことによって、来店客やイベントへの参加者が増えたという声をたくさん頂くようになりました。また、配信後にテレビ局や大手新聞社、ラジオなどの後追い報道も見受けられ、結果的に「大きな反響」を呼ぶことが多くなりました。このような事実から、人々のニュースへの接触方法や「話題の発信源」に大きな変化が生じていると言えます。そしてこのことは、興味を引く「話題」を提供することができれば、大きな宣伝費をかけることなく販売促進や集客などが可能であることを示しています。

3.話題を呼ぶニュースの種類
 山口宇部経済新聞は、「シブヤ経済新聞」を総本山とするフランチャイズの一つです。「シブヤ経済新聞」は、北は札幌から南は沖縄・石垣まで60ヶ所以上の拠点(海外にも4拠点)で展開されています。そして、各拠点は異なる企業・団体が運営しており、「みんなの経済新聞ネットワーク(以下、みん経と呼びます)」を形成しています。各拠点では、それぞれの地域の「街ネタ」をインターネット新聞に配信するとともに、同時にヤフーニュースにも配信しています。
 この「ヤフーニュース」は、インターネット上のニュースメディアの代表サイトであり、一日に約15億回以上のページビュー(閲覧数)を誇る国内最大のポータルサイト「ヤフー・ジャパン」のトップページに8本の「トピックス」と呼ばれるニュースを掲載しています。この「ヤフートピックス」は非常に大きな影響力を持っており、ここに掲載されるとニュース元となったお店や会社のサーバーがパンクするような事態も起こっています。これまでに何度か当社が配信したニュースが「ヤフートピックス」に掲載されたことがありましたが、掲載後の反響は衝撃に近いものがありました。
 みん経の中の一つ「市ヶ谷経済新聞」の菅野夕霧編集長は、「ヤフートピックスを狙え」(新潮新書)という書籍を出版されました。同書では約2年分のヤフートピックスを研究対象として分析して、話題づくりを行うための秘訣を紹介しています。そして、話題づくりを「挑む・挑ませる」・「見た目」・「組み合わせ」の大きく三つに分類し、誰でもできる話題づくりのノウハウを提供しています。以下に同書からの引用となりますが、話題づくりのノウハウの一部をご紹介致します。

  崢む・挑ませる」ためのノウハウ
 ★あなたの手掛けるもので、
  ・世界記録に挑戦する・させる
  ・日本記録に挑戦する・させる
  ・何かの記録に挑戦する・させる
  ・対決する・させる
  ・競争する・させる
  ・公募する・検定をする
◆ 峺た目」のためのノウハウ
 ★あなたの手掛けるものを、
  ・とにかく大きく・長く
  ・とにかく大量に
  ・とにかく大勢で
  ・金色・虹色に
  ・とにかく変わった色に
  ・ハート形・星形・人形に
  ・とにかく変わったカタチに
  ・とにかく豪華・高級に
 ★あなたの手掛けるものの、大使=シンボル
  をつくる(キャラ・動物等)
 「組み合わせ」のノウハウ
 ★あなたの手掛けるものの、
  ・ターゲットの性別を逆にする
  ・専門性を極める
 ★あなたの手掛けるものに、
  ・対極のものを足してみる
  ・異物を足してみる
  ・時流・トレンドを取り込む
 ★あなたの手掛けるもので、何かを再現・復
  活する
 ★あなたの手掛けるものを、無料にする
 この様に、現在手掛けている事柄を切り口を変えて見ることにより、別なアイデア・事実を発見することが出来るようになります。皆様も一度試して見て下さい。

4.士業でもできる「話題づくり」
 全国各地域で運営されている「みん経」で配信されたニュースの中には、コンサルタントや税理士などのいわゆる士業の方を取り上げた記事がたくさんあります。決して大きな宣伝予算や高度な技術は必要なく、まさにアイデア一つで実現した「話題づくり」のいくつかをご紹介します。
 まずは、愛媛県・松山市の税理士が開くセミナーを取り上げた記事です。
■積水ハウス、住宅購入者向けに事前セミナー−税理士事務所とコラボ(松山経済新聞)
 http://matsuyama.keizai.biz/headline/449/
 マイホーム購入者のための事前基礎知識を伝えることを目的としたセミナーですが、「コラボ」というキーワードは時流のひとつと言えるでしょう。この記事は住宅メーカーと税理士による「コラボ」を取り上げていますが、異業種によるコラボレーションは報じる側としても取り扱いやすいものです。士業が発信できる「話題づくり」として「コラボ」はぜひ検討してみてください。

 次は、神奈川県・横浜市で士業が集まって発足した組織を取り上げた記事です。
■横浜を拠点にNPO「こころthe士業」が発足−社労士や税理士が連携(横浜経済新聞)
 http://www.hamakei.com/headline/6468/
 社会保険労務士や税理士などの士業を営む個人事業者が集まって勉強会や主催セミナーなどを行う組織が発足したことを取り上げた記事ですが、「志(こころざし)」と士業を掛け合わせた「こころthe士業」というネーミングで掲載を勝ち取ったと言えます。

 最後に、秋田県・秋田市の税理士が「敷居が高く相談しづらいという税理士のイメージを払しょくしたい」と居酒屋で税務相談を実施したことを取り上げた記事です。「居酒屋」と「税務相談」という異物の足し算によって話題を作っています。組み合わせの意外性があるほどニュースとして取り上げやすいものとなり、大きな話題につながります。この記事は以下に全文を掲載してご紹介します。
■秋田の居酒屋で税務相談「確定申告酒場」−地元税理士が1日限り開店(秋田経済新聞)
 http://akita.keizai.biz/headline/1101/
 居酒屋で税務相談などに応じるイベント「確定申告酒場」が2月19日、居酒屋「いろり家」(大町4)で開かれる。
 「敷居が高く相談しづらいという税理士のイメージを払拭したい」と、東京都新宿区の税理士・高橋創さんが昨年「新宿ゴールデン街」の飲食店で初めて開いた同企画。約20人が税務相談に訪れた。秋田市で税理士事務所を経営する吉川裕太さんが高橋さんと知り合いだったことなどから、「ならば秋田でも」と同店の協力を得て1日限りの「開店」を決めた。
 「税理士会でも無料相談会を開いているが、より身近な存在として相談頂ける場をと企画した。各地に『酒場』の輪が広がれば嬉しい」と高橋さん。吉川さんは「確定申告に限らず、税務相談にも応じる。平日の昼間に税理士事務所に足を運びにくい会社員や事業主の皆さんにも気軽に来店いただければ」と呼び掛ける。

5.おわりに
 平成24年2月4日の九州・中国支部の研修では、講師を務めさせていただく予定です。当日は、「IT関連」をテーマに、ソーシャルメディアに関する最新情報などをご紹介します。
 本年も引き続き研鑽を積み重ね、直感によるオートフォーカス機能の精度を上げたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
以上

<参考文献>
・岡田武史 羽生善治対談集:「勝負哲学」サンマーク出版(2011)


・管野夕霧 著:「ヤフートピックスを狙え」新潮新書(2010)


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